
売却できるか?法的な可否とポイント
車検が切れた車でも、所有者が合法的に手放すこと自体は可能です。公道を走らせられないため自走搬送はできませんが、レッカー移動や仮ナンバーを利用することで査定場所まで運ぶ手段があります。特に仮ナンバーは市区町村の役所で最短即日発行でき、保安基準に適合しているかの軽点検を受けるだけで済みます。
買い取り業者の多くは自社でトラック回送を行うため、仮ナンバーよりも無料レッカーサービスを使う方が手間を減らせます。レッカー費用の有無は業者によって差があるので事前確認が必須です。車検が切れていることで減額される幅は、車両の年式や走行距離、外装状態の影響より小さいことも多く、ナンバー返納による自動車税の月割還付が戻るケースもあるため、「車検切れ=大幅な損」という単純な図式にはなりません。
手続きと必要書類をスムーズにそろえる方法
売却時に必要な基本書類は、車検証・自賠責保険証明書・印鑑証明書・譲渡証明書・委任状です。車検証の有効期限が切れていても無効ではないので、そのまま提出できます。印鑑証明書は発行日から3か月以内が一般的な有効期間ですから、手続きを始める直前に取得すると無駄がありません。
自賠責保険の満期を超えている場合でも、抹消登録を行い自動車重量税や保険料の未経過分還付を請求できるため、業者側で書類を準備することがあります。使用の本拠地が遠隔地に変わっていなければ住民票は不要ですが、婚姻や転居で車検証と印鑑証明の住所が異なると戸籍附票など追加資料が生じるので注意しましょう。書類が揃えば名義変更は業者が代行し、完了報告書で手続き終了を確認できます。
査定前後で失敗しないための注意点
車検切れ車両はバッテリー上がりやブレーキ固着が起こりやすく、査定当日に始動できないと評価が下がる恐れがあります。査定前に補充電やフルード確認を済ませるだけで、エンジンの始動性を保てる場合が多いので簡単な点検を怠らないようにしましょう。
外装については、放置期間中の色あせやサビの進行が査定ダウン要因になります。洗車と鉄粉除去、軽研磨を行うだけでも第一印象を改善できるため、“車検切れでもメンテされている車”というイメージを与えられます。また、法的に公道を走れない焦りを見透かされると足元を見られやすいので、一括査定で複数社を競合させ価格の基準を掴む戦略が有効です。
売却代金の精算は書類引き渡し当日か名義変更後か、契約形態によって変わります。即日振込を希望する場合は事前に確認し、契約書に支払期日を明記してトラブルを防ぎましょう。なお、抹消登録が完了すると自動車税の還付通知が後日届きますから、確定申告時に納税証明書を失くさないよう保管しておくと安心です。